健康アドバイス |
タバコと健康
タバコが健康を損なうことはよく知られていますが、いったい身体にとってどれくらいの影響
があるのでしょうか。少しまとめてみました。
1)タバコの煙の成分
タバコの煙にはニコチン・ダイオキシン・種々の発ガン物質・発ガン促進物質・一酸化炭素、
その他多数の有害物質が含まれています。
タバコの煙は、喫煙時にタバコ自体やフィルターを通過して口腔内に達する
「主流煙(しゅりゅうえん)」と、これが吐き出された「呼出煙(こしゅつえん)」、及び
タバコの点火部から立ち上る「副流煙(ふくりゅうえん)」に分けられます。各種有害物質の
濃度は主流煙より副流煙の方が高く、主流煙は酸性ですが、副流煙はアルカリ性で、眼や鼻の
粘膜を刺激します。
2)受動喫煙(じゅどうきつえん)について
「環境中タバコ煙(EТS)」は室内においてタバコを吸う人(喫煙者)の呼出煙とタバコ
から立ち上る副流煙が混じり合った総称で、「受動喫煙」はタバコを吸わない人(非喫煙者)
が自分の意志とは関係なく環境中タバコ煙を吸ってしまう状態です。
受動喫煙により非喫煙者の体内に入るタバコの煙の量は、喫煙者の10〜100分の1程度
ですが、非喫煙者はタバコの煙に対して非常に敏感なため、1日数本の喫煙に匹敵する健康障
害が受動喫煙によってもたらされるといわれています。
3)タバコの害
*喫煙に関連する病気
・癌(がん):肺癌、喉頭癌、口腔・咽頭癌、食道癌、胃癌、他
・循環器疾患:虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)、高血圧、
閉塞性動脈硬化症、他
・脳血管疾患:脳出血、脳梗塞など
・呼吸器疾患:肺気腫、慢性気管支炎、気管支喘息、他
・消化器疾患:胃・十二指腸潰瘍など
・精神障害:ニコチン依存症
・神経障害:聴力障害、脳萎縮
・胎児の成長障害、妊娠合併症、流産、他
・免疫能の低下
・骨粗鬆症
・その他:寿命の短縮
*癌について
・喉頭癌の約96%はタバコが原因といわれています。
・肺癌の約72%はタバコが原因といわれています。
・食道癌の約48%はタバコが原因といわれています。
・胃癌の約25%はタバコが原因といわれています。
・脳腫瘍の約24%はタバコが原因といわれています。
*タバコと美容
・シワが増えて皮膚の老化が早くなります。
・男性では脱毛の原因になります。
・歯周病、歯肉や口唇に色素沈着が起こります。
*周囲の人への影響
・夫の喫煙により、妻の肺癌は1〜3倍増加するといわれています。
・非喫煙者の心筋梗塞のうち、約20%は周囲の人のタバコの煙が原因といわれています。
・5歳以下の子供の知能指数が低下するといわれています。
・3才児の喘息様気管支炎は2〜3倍となるといわれています。
4)未成年者の喫煙
20歳までにタバコを吸うと、開始年齢が若いほど癌や心筋梗塞で死ぬ可能性が高くなります。
15〜20歳未満でタバコを吸いはじめた人の全年齢での癌での死亡率は吸わない人の1.77
倍といわれています。
15歳未満でタバコを吸いはじめた人を非喫煙者と比べると、癌の発生が15年早く起こると
考えられています。
タバコの誘惑に負けないように!
禁煙について
1)ニコチンの離脱症状(りだつしょうじょう)
喫煙者は程度の差こそあれ「ニコチン依存」に陥っています。このため禁煙すると
タバコに含まれるニコチンが体内に供給されなくなるために離脱症状が起こります。
いわゆる禁断症状です。
その主な症状として、タバコが吸いたくてイライラする、落ち着かない、頭が痛い、
眠いなどがあります。この症状は禁煙後2〜3日でピークに達しますが、1週間、
長くても2〜3週間で消失します。これに打ち勝つことができるかどうかで禁煙でき
るかどうかが決まると言えるでしょう。
2)あしたの禁煙のために
その1:禁煙したいという強い意志を持つこと
その2:禁煙中は早寝早起きをして規則正しい生活を
その3:吸いたくなったら冷たい水や熱いお茶を少しずつ飲む
その4:深呼吸を意識してみる
その5:アメやガムをタバコの代わりにしない
その6:コーヒー・ケーキ・辛いものを控える
その7:煙の多い場所には行かない(パチンコはやめる)
その8:アルコールは飲まない(お酒の席に御用心)
その9:歯を磨く
その10:野菜を食べる
その11:身体を動かす
3)禁煙補助剤について
禁煙補助薬としてニコチンガムやニコチンパッチなどがありますが
(医師の処方箋が必要)、これを使えば簡単に禁煙できるというものではなく、
あくまでも「禁煙するんだ」という強い意志がなければできません。
でも本気で禁煙しようとする人はこれを使うことによってニコチンの離脱症状を
緩和することができ、より楽に禁煙できるかもしれません。
4)禁煙のメリット
禁煙1日後 :動悸・息切れが減る。食べ物の味が変わる。
禁煙3日後 :体内のニコチンがほとんど無くなる。呼吸が楽になる。
食欲がわく。
禁煙1週間後:体力が戻ってくる。冷え性が改善する。
肌や歯茎や唇の色がきれいになる。
禁煙2週間後:肌がすべすべになる。
タバコを吸わなくてもリラックスできるようになる。
禁煙1ヶ月後:咳や痰が減る。肩こりや腰痛が改善する。髪の毛に艶と張りがでる。
禁煙2ヶ月後:隣席のタバコを臭く感じる。風邪をひきにくくなる。
禁煙6ヶ月後:易疲労感、息切れが改善。禁煙してよかったとしみじみ思う。
禁煙1年後 :心臓病の死亡率が半減する。
禁煙5年後 :肺癌の死亡率が喫煙者の半分になる。(1日20本喫煙の場合)
禁煙10年後:前癌状態の細胞が修復される。口腔癌・咽頭癌・食道癌・
膀胱癌・腎癌・膵臓癌になる確率が減少する。
ただせっかくの禁煙によるメリットもたった1本のタバコによって失われてしまいます。
禁煙後に体重が増えたという人が多くおられますが、それは禁煙によって体調がよくなり、
食欲が増し、たくさん食べ過ぎたためだと思われます。
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ここでサッカー選手の話をしましょう。
選手としてただ1人ワールドカップで3回の優勝経験のあるブラジルのペレは
「サッカーの王様」と呼ばれています。そのペレが子供のころ、父親にタバコを
吸っているところを見つかり、「タバコを吸っていけないとは言わない。
ただ本当に一流のサッカー選手になりたいと思うのならタバコをやめなさい」
と言われ、タバコをやめたという話があります。
サッカーの好きな私は、中学生の時にこの事をサッカーの雑誌で読んで知り、
タバコを吸わないと誓いました。誰でも若い頃に1度や2度はタバコの誘惑を経験
すると思います。
私は今、タバコを吸わなくて本当に良かったと思っています。