循環器疾患について

 「心雑音って何?」

 内科健診などで聴診器で胸の音を聴かれた時に「心雑音があります。」と言われたり、
または『心雑音』という言葉を耳にしたことはありませんか。

 心雑音とは、字のごとく心臓の雑音のことです。
すなわち、心臓の中を血液が流れる時に生じる異常な音のことです。

 心臓は収縮したり拡張したりすることによって、ポンプの様な作用で血液を全身に送っています。
身体を流れる全ての血液は心臓にかえり、心臓から出て行きます。心臓の中には、血液が心臓を通る
時に逆流しないように、閉じたり開いたりする弁が四つあります。

 心臓は四つの部屋からできており、各部屋の出口に弁がついています。心雑音の多くは、血液が
この弁を通る時に生じます。この場合の病的な原因として心臓弁膜症という病気があります。

 それでは心臓弁膜症とは、一体どんな病気なのでしょうか。
 心臓弁膜症には、先天性(生まれつき)のものと、後天性(リウマチ熱などが原因)のものがあり
ますが、いずれにせよ、心臓の中の弁の異常によって起こります。わかりやすくいえば、
弁が閉じる時にちゃんと閉じないですき間があいているために、血液がそのすき間から漏れて逆流したり
(弁の閉鎖不全症)、また弁が開く時にちゃんと開かないで狭くなったために、血液が通りにくくなったり
(弁の狭窄症)する状態をいいます。
弁膜症になると、心臓に負担がかかり、心不全を起こしやすくなります。

 そして、もうひとつの心雑音の原因として重要なものが、先天性心疾患です。
これは生まれつきの心臓の形の異常、すなわち心奇形です。例えば、心臓の壁に穴があいていたり
(心房中隔欠損症、心室中隔欠損症など)、弁の奇形があったりする場合です。
ほとんどが小児期に発見されますが、まれに大人になってから発見されることもあります。

 最後に、健康な人では、心雑音は聴こえないのが普通ですが、『無害性雑音』といって健康な人でも
聴かれる心雑音があります。ですから「心雑音があります。」といわれても、すぐに心配しないで専門医
の診察または検査を受けてください。

最近では、心臓超音波検査法(心エコー)の進歩により、多くの場合、10分ほどで簡単に心雑音の診断
がつくばかりではなく、病気の状態や程度までわかるようになりました。